仏教徒の基本

仏教徒が大切にするもの

仏(ぶつ)、法(ほう)、僧(そう)

仏教徒は、ともにさとりを目指す者として、仏様と、教えと、仏教徒の集まりを大切にします。

三帰依文(さんきえもん)

人身(にんじん)受け難(がた)し、いますでに受く。仏法(ぶっぽう)聞き難し、いますでに聞く。

この身(み)今生(こんじょう)において度(ど)せずんば、さらにいずれの生(しょう)においてかこの身を度せん。

大衆(だいしゅう)もろともに、至心(ししん)に三宝(さんぼう)に帰依(きえ)し奉(たてまつ)るべし。

自ら仏(ぶつ)に帰依したてまつる。まさに願わくは衆生(しゅじょう)とともに、大道(だいどう)を体解(たいげ)して、無上意(むじょうい)を発(おこ)さん。

自ら法(ほう)に帰依したてまつる。まさに願わくは衆生とともに、深く経蔵(きょうぞう)に入りて、智慧(ちえ)海のごとくならん。

自ら僧(そう)に帰依したてまつる。まさに願わくは衆生とともに、大衆(だいしゅう)を統理(とうり)して、一切無碍(むげ)ならん。

無上(むじょう)深甚(じんじん)微妙(みみょう)の法は、百千万劫(ごう)にも遭(あい)遇(あ)うこと難(かた)し。我(われ)いま見聞(けんもん)し、受持(じゅじ)することを得たり。願わくは如来(にょらい)の真実義(しんじつぎ)を解(げ)したてまつらん。


仏教の基本

仏教徒がさとるべき智慧

四諦(したい)

1,苦諦(くたい) これが苦しみである

2,集諦(じったい) これが苦しみの原因である

3,滅諦(めったい) これが苦しみの消滅である

4,道諦(どうたい) これが苦しみの消滅に至る道である

仏教徒が修める日々の修行

八正道(はっしょうどう)

1,正見(しょうけん)

2,正思惟(しょうしゆい)

3,正語(しょうご)

4,正業(しょうごう)

5,正命(しょうみょう)

6,正精進(しょうしょうじん)

7,正念(しょうねん)

8,正定(しょうじょう)

仏教徒が完成させるべき六つの徳目

1,布施(ふせ) 与えること。

2,持戒(じかい) 戒律を保つこと。

3,忍辱(にんにく) さとるための苦難に耐え忍ぶこと。

4,精進(しょうじん) おごらず、たゆまず、ひたむきに実践すること。

5,禅定(ぜんじょう) 精神を統一し、それを保つこと。

6,智慧(ちえ)(般若)(はんにゃ) さとるための智慧を得ること。

在家の仏教徒の五戒

1,不殺生戒(ふせっしょうかい) 生きものを殺さない

2,不偸盗戒(ふちゅうとうかい) ものを盗まない

3,不邪淫戒(ふじゃいんかい) よこしまな愛欲に溺れない

4,不妄語戒(ふもうごかい) 嘘をつかない

5,不飲酒戒(ふおんじゅかい) お酒を飲まない

苦しみとは

四苦八苦(しくはっく)

四苦:生、老、病、死

八苦:

愛別離苦(あいべつりく) 愛しいものと別れる苦しみ

怨憎会苦(おんぞうえく) 憎いものにも会う苦しみ

求不得苦(ぐふとくく) 求めても得られない苦しみ

五陰盛苦(ごおんじょうく) 心身にそなわっている苦しみ

釈尊は何を覚ったのか?

縁起(えんぎ)

:縁(よ)って生起(しょうき)すること

:すべての事物には必ず因(いん)と縁(えん)とがある。また同時に、すべての事物は必ずそのほかの事物の因と縁になる。

因は原因のこと。

縁は条件のこと。


「この身は父母を縁として生まれ、食物によって維持され、また、この心も経験と知識とによって育ったものである。だからこの身も、この心も、縁によって成り立ち、縁によって変わるといわなければならない。」(p81)

「花は咲く縁が集まって咲き、葉は散る縁が集まって散る。ひとり咲き、ひとり散るのではない。縁によって咲き、縁によって散るのであるから、どんなものも、みなうつり変わる。ひとりで存在するものも、常にとどまるものもない。(中略)

 それでは、人びとの憂い、悲しみ、苦しみ、もだえは、どうして起こるのか。つまりそれは、人に執着(しゅうじゃく)があるからである。富に執着し、名誉利欲に執着し、悦楽に執着し、自分自身に執着する。この執着から苦しみ悩みが生まれる。(中略)

 しかし(中略)執着を離れさえすれば、すべての悩み苦しみはあとかたもなく消えうせる。(p83-85)」

(仏教伝道協会『和英対照仏教聖典』より)

縁起にもとづくと

一定不変の(同じところに同じようにあり続ける)ものは存在しない。

だから、

常なるものは何も無い:諸行無常

我なるものも何も無い:諸法無我

ということが導き出されてくる。

輪廻転生(りんねてんしょう、りんねてんせい)

 釈迦族の王子様としてゴータマさんがこの世に誕生したころ、インドの人々は輪廻を信じていました。

 今生において良い行いをすると、死んで生まれ変わった次の生において良い人生が待っているが、今生において悪い行いをすると、死んで生まれ変わった次の生において悪い人生が待っている、と考えていました。

 下から順番に、地獄(じごく)、餓鬼(がき)、畜生(ちくしょう)、修羅(しゅら)、人(にん)、天(てん)と六つの世界(六道)があり、今は人の世界に生きていますが、良い行いをすると天界に生まれ変わることができて、悪いことをすると地獄や餓鬼等に落ちてしまう。

 いずれの世界に生まれるにしても、六道の中をぐるぐると「輪廻」しながら、いつまでたっても苦しい生き方をまぬがれることができない、「この悪循環をどうやって断ち切るか」がゴータマさんにとっての大事な課題でした。